海外旅行保険の基礎知識
複雑で難しい印象の海外旅行保険。確かに奥は深いです。
でも、基本さえ理解すればあとは簡単。
自分に必要な保険とはどんなものなのか、この機会に知ってみてはいかがでしょうか。
海外旅行保険の必要性はどれほどか?
「保険」全般にも言えることですが、「海外旅行保険」とは、万一のときに備えるためのものです。
金銭的に心配事があることに備えるためのものです。 何も起こらないことが確実に分かっているのなら、必要ありません。または、何か起こっても、保険に頼らずに対処できることが分かっているのなら、必要ありません。
しかし実際のところ、海外旅行中という、日常生活とは何もかも異なる状況では、何が起こるかは予測できないのが現実です。 病気や怪我なら、気を付けることである程度防げる場合もありますが、突発的に起こる事故は、防げないかもしれません。自分に全く落ち度がなくても、巻き込まれる、ということもあります。
「必要性」については、最終的には個人の価値観次第、と言わざるを得ませんが、少しの備え(加入料金)で安心の補償が受けられるのなら、その可能性が万に一つだったとしても、加入はしておいたほうがよいのではないでしょうか。 ただし、必要なものだけを上手に選ぶことが、重要になってくると思います。
旅行期間、旅行形態、旅行目的、行き先、行き先で何をするかによって選択肢はさまざま
「海外旅行保険」にはさまざまな補償があります。「必要な補償」は、その人によって異なってくるのが普通です。
「旅行期間は、短いのか長いのか?」
「団体なのか、数人なのか、一人旅なのか?」
「娯楽目的の観光旅行なのか、仕事や勉強の目的なのか?」
「治安が良いところなのか悪いところなのか?」
「現地では、ただリラックスするだけなのか、アクティブに冒険するのか、危険なスポーツをするのか?」
などなど。必要な備えの内容は変わってくることが、なんとなくお分かりいただけるでしょうか? 以下は考え方の一例です。ぜひ参考にしていただければと思います。
・パッケージツアー利用の場合
出発から帰国まで、飛行機と宿泊先、現地空港と宿泊先間の送迎、街から街への移動手段などが、旅行代理店によって手配されていて、現地でお世話してくれる人もつく場合が多いです。
でも、病気や怪我や事故に遭う確率は、他の旅行形態と比べて減るわけではないと思います。「団体行動中にはスリに狙われる可能性が低くなる。」メリットは、この程度だけです。
このため、必要最小限の保険には加入しておいたほうがよいでしょう。よく分からないときには、旅行代理店で取り扱っている海外旅行保険のことを聞いて、ツアーと一緒に申し込むのもよいと思います。
・個人手配旅行(旅行期間: 短期)の場合
旅行中、現地でお世話してくれる人がいない。突発的に何か起こった時に、全て自分で考えて対処しなければならないことが、パッケージツアーとは大きく異なる点です。
海外旅行保険の選び方は、パッケージツアーのときと同じでもよいですし、各保険会社のプランを自分で比較して選んでもよいと思います。現地でお世話してくれる人がいないため、何よりも大切なのは、出発前にしっかりと、何かあったときの連絡先や問い合わせ方法を、自分で確認しておくことです。
保険会社、クレジットカード会社、在日本大使館や領事館。これはまず基本です。連絡先電話番号だけでなく、国際電話のかけ方も調べておきましょう。
また、自分の好きなように旅程を組めることで、行動範囲も広がると思います。治安の問題がない都市で、美術館や史跡めぐり、街並みの観光やショッピングなどという旅行なら、一般的な補償でよいと思いますが、例えばスペイン、イタリア、プラハ、パリなど、スリに遭う可能性が高い地域を観光することになる場合には、加入している保険に「携行品補償」がきちんとついているか確認しておく(もちろん、スリに遭いにくくする対策も必要ですが)、また、例えばマリンスポーツや登山をするなら、万一行方不明になって捜索されるときのことを考えて「救援者費用」も多めにしてみる、など補償内容を理解して選んでいく必要性が出てくると思います。
・バックパッカー旅行(旅行期間: 中期)の場合
個人手配旅行と基本的には同じですが、異なる点は旅行日数が長くなること。
ネットで契約できる保険会社のセットプランで見積もりを出してみると、保険料が高くてビックリすることになるかもしれません。でも費用を抑えて旅行する場合には、危険や困難な状況が、常に隣り合わせであることも多いものです。海外旅行保険の存在意義が最も重要だと感じることになる旅行形態かもしれません。 クレジットカード付帯保険を併用するなどして、費用は抑えつつ、できる限りの備えをして出発することをお勧めします。
・留学、海外赴任(旅行期間: 比較的長期)の場合
娯楽目的の観光旅行とは異なり、あまり冒険的なことはしないでしょうから、「住まいが外国だけど、日本と同じような日常生活を送る」ことになると思います。
現地に馴染んでくればスリに狙われるような可能性は低くなり、この点の心配は減りますが、例えば短期旅行中には可能性が低かった病気や怪我の心配は、しなければならなくなってくると思います。出発前に健康診断を受けたり、歯の治療は済ませておいたりするなど、出発前の対策をすることで心配は減りますが、基本的に外国は医療費がとても高いので、「傷害・疾病治療費用」の補償は、できるだけ高額に設定しておいたほうが安心です。
また、誤って他人をケガさせたり他人のものを壊したりしたときに補償される「賠償責任」も、いつ必要になるか分かりませんので、しっかり加入しておくことをお勧めします。
セット保険と、内容を選べる保険がある
セット保険とは、その名のとおり、一般的に必要だと思われる補償内容が複数盛り込まれた保険です。
保険に関する知識がない人には「これを選んでおけばとりあえず大丈夫」と言える便利なものですが、反面、必ずしも必要ではない補償まで盛り込まれていて、保険料金が高めになっていることもあります。 (例えば疾病による死亡など。
そうなる可能性を考えてみたとき、限りなくゼロに近いと思うものは、不要な補償です。) 内容を選べる保険は、通称「バラがけ」と呼ばれていて、「オーダーメイド保険」などという名称で出ています。 好みに合わせて、補償内容と保障金額を自在に組み合わせることができます。
よく利用することになるのは、「携行品損害」
どういうケースで保険のお世話になるのかを知れば、補償内容の選び方のヒントも見えてくると思います。
実際に何度も海外旅行をしてみた私の経験では、「携行品損害」の項目で保険金申請することになったことが最も多いです。主には修理代です。航空会社に預けたスーツケースが、受け取ったときには足が取れてなくなっていた、角が割れていた。
水中撮影用のデジタルカメラに水がしみ込んで撮影できなくなった。持参した電熱器が旅行の途中から電源を入れても熱くならなくなってしまった。などは私が実際に経験したことです。 スリに遭った時には、加入していた保険に「携行品損害」がついていないことを見落としてしまっていたため、補償を受けられませんでした。
よりによって、最も注意が必要だと言われている、バルセロナに行ったときでした! なお、自分に落ち度がない事故の場合しか保険金申請できないと思い込んでいる人も多いようですが、不注意による過失の場合でも「突発的な事故」の場合は保険金申請できる場合があります。ぜひ覚えておきましょう。
実際に事故に遭った時の対処方法例
・スリに遭った
モノを盗られただけで怪我がなかったのなら、まずは喜びましょう。 保険会社だけではなく、在日本大使館や領事館、現地警察にも届け出が必要になります。どこの警察署に行けばよいかは、在日本大使館や領事館に電話すれば教えてもらえます。
警察で作成してもらうポリスレポート(事故報告書)は、事故に遭った時の状況や盗られたものの詳細が記載され、保険会社へ提出する事故証明書類となります。 なお、クレジットカードや銀行キャッシュカードを盗られた場合は、何よりも先ずそれらのカードの利用停止措置をしてもらう必要があります。悠長にしていると、犯人に不正使用される可能性があります。
プロの犯罪集団にひっかかってしまうと、不正使用に協力する店までもが集団の一味で、盗難から5分もたたない時間に素早く高額な不正使用をされたりします。(これは私の実経験です。) 不正使用の被害は、後日カード利用明細を受け取ったときに初めて気付きます。このように後から発覚した場合も、ポリスレポートをクレジットカード会社に提出することで、調査と審査をしてもらえて、被害金額分は支払いしなくてもしなくてよくなります。
(発覚した時期とカード会社での審査にかかる時間、また利用金額の銀行引き落とし日によっては、いったん自己負担が必要になる場合もあります。)
・スーツケースが壊れた
「航空会社に預けたスーツケースが壊れて出てきた」ケースが最も多いと思うので、それを例に説明します。 航空会社から「破損証明書」を発行してもらう必要があります。これは、保険会社へ保険金申請するときに必要な書類です。
ビジネスクラスやファーストクラスを利用した場合や、一部の日系航空会社を利用した場合など、航空会社が修理費用を負担してくれるケースもあります。この場合、海外旅行保険は利用しなくてよいことになります。いずれにしても、まずは航空会社の担当者と話をしなければなりません。 外国の空港で気付いた場合、言葉の不安があっても、空港のバゲージクレーム(スーツケースを受け取るエリア)で係員をつかまえて、スーツケースの壊れた箇所を指差して見せれば、状況は分かってくれるでしょう。
スーツケースにつけられたタグ、パスポートやフライト情報などを元に書類を作成してくれます。この書類を持ち帰り、日本に帰国してから保険会社に報告し、保険金申請書、修理金額見積書などの必要書類を揃えて、保険金申請します。
・カメラが壊れた
保険会社へは、壊れたことに気付いたときの状況報告をすることになります。
日本に帰国してから保険会社に報告し、保険金申請書、修理金額見積書、カメラ購入時の領収書などの必要書類を揃えて、保険金申請します。修理で直らない状態になってしまった場合は、カメラ購入時の金額を元に、使用年数1年につき10%程度価値が下がるとの計算がされ(減価償却)、支給金額が決められます。
・病気になった、怪我をした
具合が悪くなったときに病院へ行く前に保険会社へ連絡すれば、保険会社と提携している現地のドクターを紹介してくれて、治療費用の立替えもしなくてもよい場合もあります。 保険会社へ連絡する時間の余裕がなく病院へ駆け込んで治療を受け、費用を支払いした場合は、日本に帰国してから保険会社に報告し、保険金申請書、支払った治療費の領収書などの必要書類を揃えて、保険金申請します。
クレジットカードの付帯保険で事足りるのか?
海外旅行の必需品として「パスポート」の次に重要なものが「クレジットカード」。
このクレジットカードに、カード会社のサービスで海外旅行保険がついていることがあります。カード名義人は無料でこの保険を利用できます。 ゴールド以上のカードには「家族特約」もついている場合がありますので、家族旅行する人は確認するとよいです。 一般的に「カード付帯保険」などと呼ばれているこの保険、どれぐらい安心して頼ってよいものなのでしょうか?
一般的に、カード付帯保険は補償が低め
「最高1億円の海外旅行保険が自動付帯!」などという説明を読んで、自分の持っているクレジットカードには、充分な保険がついている、と思い込んでいる人も多いと思います。
でも、ちょっと待ってください!
実際の補償内容をまだ確認したことがないのだとしたら、この機会にぜひ確認しておくことをお勧めします。
この「1億円」とは、死亡・後遺障害の補償だけのことです。
あなたが、この補償を本当に受けることになる可能性は「ほぼない」と思いませんか?
「死亡・後遺障害」の補償金額だけ高くても、良い保険とは言えないのです。重要なのは、それ以外の補償内容です。 カード付帯保険は、カード会社がカード利用者にサービスとしてつけてくれている保険です。重要な部分の補償金額は低めに設定されていたり、補償の項目が少なかったりする場合もあります。 こういうことは、実際に事故にあったり事件に巻き込まれたりしてから気付いても、遅いです。旅行出発前に確認しておくことが望ましいです。
実際に、どれぐらいの補償がついていれば「安心」なのか
自分に合った保険の選び方が分かっている人には、加入しようとしている保険に必要な補償項目があって充分な補償金額かついていれば「安心」ということになりますが、保険のことを知ろうと調べ始めたばかりの人には、なかなか分かりづらいと思います。
こういう人に補償内容の判断材料の目安としてお勧めするのは、「パッケージツアー旅行を申し込んだ時に、旅行代理店に勧められる海外旅行保険」です。
旅行代理店が勧める保険は、主要な補償がセットになったもので、ひととおり万人に向くように組まれています。 これとほぼ同じものは、海外旅行保険会社でも「セットプラン」などと名前がついて用意されています。
これらの保険の補償内容、保障金額と、カード付帯保険の補償内容、保障金額を比較して、ほぼ一致するようなら「安心」となりますし、足りなくて心許ないようなら、追加加入について考えていけばよいです。
「オーダーメイド」保険で足りない補償を追加したり、必要なものだけ加入したりできる
「セット保険と、内容を選べる保険がある」の項で少し触れましたが、カード付帯保険で足りない補償は、「オーダーメイド」保険を取り扱っている海外旅行保険会社で、追加したい補償内容と補償金額を選んで、別途追加加入するとよいです。
オーダーメイド保険では、「治療費用」の加入が必須だったり、最低保険金額が1000円だったりと、ほんの少し制限はありますが、カード付帯保険に「携行品損害」がついていないから追加したい、飛行機の乗り継ぎがあるのでロスト・バゲージに備えて「航空機寄託手荷物遅延等費用」を追加しておきたい、などというときには便利です。
カード付帯保険と保険会社の保険との違いは何か?
カード付帯保険も、実は保険会社の保険
カード会社が保険会社を運営しているわけではなく、カード付帯保険は一般の保険会社の保険です。
カード付帯保険の細かい説明をよく読めば、「保険引き受け会社: ○○保険株式会社」のような記載があるはずです。 詳細はカード会社や保険会社によって異なりますが、万一のときの事故受付窓口は、保険会社の中に特定のカード会社のカード会員専用窓口として設けられていて、実体としては保険会社が受付していることが多いです。
カード付帯保険について問い合わせるときには、必ずカード会社が指定した窓口を利用してください。 「○○保険会社」はカード付帯保険の他に一般向けの海外旅行保険も取り扱いしていて、契約内容が異なれば担当部署も対応も、異なるからです。
本当に補償されるの?「自動付帯」と「利用付帯」に気をつけよう
カード付帯保険には、そのクレジットカードを使わなくても、ただ加入して保有しているだけで、海外旅行に出かけたときには自動的に海外旅行保険が利用できるものと、そうでないものがあります。
「そうでないもの」というのは「利用付帯」と言って、旅行費用(ツアー代金など)や宿泊代、公共交通機関の運賃の支払いに、そのクレジットカードで支払いした実績がなければ、海外旅行保険が有効にならないというものです。
カード付帯保険を利用するつもりでいる人は、ご自分のクレジットカードはこのどちらのタイプになるのか、旅行出発前に必ず確認しておきましょう。 なお、「利用付帯」の対象となる条件も、カード会社によって異なります。
ツアー代金の支払いに利用するなら一番分かりやすいですが、個人手配旅行で、ポイントを貯めるためにと複数枚のクレジットカードを使い分けているような人は、利用付帯のカード保険については要注意です。カードを支払いに利用しなければ保険も有効になりませんので。
カード付帯保険で保険金請求申請するときには「自己負担額」がかかる
事故に遭って保険金請求の手続きをすることになったとき、カード付帯保険の場合はひとつ留意点があります。
1回1項目の申請につき、3000円程度の自己負担金がかかるのです。「免責金額」とも呼ばれています。支給される保険金から自己負担金の金額が差し引かれます。 なお、お金を払って加入した一般の保険会社の保険の場合は、自己負担金はかからないことが多いです。
ダブって加入するのもOK 。「死亡・後遺障害」以外の補償は、補償金額が合算される
「カード付帯保険がついているクレジットカードを複数枚持っているけど、この場合の補償金額はどうなるの?」
「カード付帯保険では補償内容が足りないと思うからバラがけしたいけれど、治療費用の加入が必須になっている。ダブって契約しても大丈夫なの?」
などという場合。 複数の別々の海外旅行保険に加入した場合、「死亡・後遺障害」以外の補償金額は、それぞれ合算した金額が補償額上限となります。 ちなみに、「死亡・後遺障害」は、加入している保険のうちの一番金額の高い補償のみが有効になります。合算にはなりません。
それ以外の項目は、例えば補償の低い保険がついているクレジットカード、「治療費用」が100万円しかついていないカードでも、3枚持っていれば、治療費用は300万円まで補償されることになります。 別のケースで例えば、カード付帯保険の「治療費用」が100万円、それにバラがけして500万円の補償をつければ、合計600万円まで補償されることになります。
どんな内容が補償されるのか?
海外旅行保険の補償内容とは具体的にどのようなものなのか、概要を確認してみましょう。 なお、補償金額はあくまでも「その金額を限度として」支払われる額です。実際に保険金として支払われるのは、実際にかかった金額だけです。
カード付帯保険、セット保険の主なもの
・傷害死亡・後遺障害
旅行期間中の事故によるケガが原因で、事故の発生の日からその日を含めて180日以内に死亡した場合、または後遺障害が発生した場合に、保険金が支払われます。 補償金額は、1000万円ぐらいから1億円ぐらいまで。
カード付帯保険が「自動付帯」とされているカードでも、この項目だけは「利用付帯」で、ツアー代金や交通費の支払いにそのカードを利用していない場合は1億円の補償が5千万円に減額になる場合もあります。要注意項目だと思います。
・治療費用
旅行期間中の事故によるケガが原因で医師の治療を受けたとき、治療にかかった費用が保険金として支払われます。 なお、実際に保険金支払い対象となる条件は、保険会社各社とも大変細かく規定されています。
保険会社によって内容も異なりますので、加入している保険の規約をよく確認することをお勧めします。 補償金額は、100万円ぐらいから。無制限という保険もあります。
・疾病死亡
旅行期間中に発病した病気、または旅行期間期間中に原因が発生して帰国後に特定の時間内に発病した病気によって、定められた期間内(30日以内など)に死亡した場合に、保険金が支払われます。
こちらも、対象になる条件が保険会社各社とも大変細かく規定されています。保険会社によって内容も異なりますので、加入している保険の規約をよく確認することをお勧めします。 補償金額は、1000万円ぐらいから。
・賠償責任
旅行期間中に偶然な事故によって、他人にケガをさせてしまったり、他人のもの(ホテルの客室の設備品、レンタル旅行用品なども対象になります)を壊したりして、被害者から法律上の損害賠償を請求されたとき、賠償をするのに必要な費用が保険金として支払われます。
補償金額は、2000万円ぐらいから。無制限という保険も多くなっています。
・携行品損害
旅行期間中に、持ち物や身の回りの品(被保険者の所有するもの)が盗まれたり、事故により壊れたり、偶然な事故で損害を受けるなどした場合に、その物の時価額、または修理にかかる費用のいずれか低い金額が保険金として支払われます。
カード付帯保険では「1旅行中合計で○万円限度」となっていたり、一般保険では「1品目あたり○万円限度」となっていたり、と異なりますので、ご自分の保険の補償内容を確認することをお勧めします。 補償金額は、1品目あたりだったり合計だったりはしますが、10万円ぐらいから。
・救援者費用
旅行期間中に遭難して捜索されたり、救助されて移送されたりした場合にかかる費用や、現地で入院したことで家族が日本から駆けつけることになった場合にかかる費用などが保険金として支払われます。
こちらも、対象になる条件が保険会社各社とも大変細かく規定されています。保険会社によって内容も異なりますので、加入している保険の規約をよく確認することをお勧めします。 補償金額は、2000万円ぐらいから。
・航空機寄託手荷物遅延等費用
航空会社に預けた手荷物が、到着したときに受け取れない「ロスト・バゲージ」に遭ったとき、主には6時間以上受け取れなくて、その間に必要になった洗面用具や下着などの衣類を購入した代金が保険金として支払われます。 補償金額は、2万円ぐらい。
・ショッピングガード
カード付帯保険についている補償です。そのカードを支払いに使った買い物で、買ったものが(主に)90日以内に偶然の事故で壊れたりした場合に、商品の購入金額を上限として修理金額などが支払われます。
この保険は海外旅行中とは限定されておらず、国内でも有効です。年間の補償限度額は200万円ぐらいから。
この補償は本当に必要?オプションとして追加可能な保険について
・航空機遅延費用
飛行機の到着が遅れて、予約していた乗継便に乗れなかった場合、または欠航や運休になったあとに代わりの飛行機を主には6時間以内に利用できなかった場合に、その間に発生した宿泊代や食事代が保険金として支給されます。 補償金額は、2万円ぐらい。
この補償は、最近、一部のカード付帯保険にもついているようになりました。無料でつくならあってもよいですが、わざわざ追加でつける価値があるかどうかは、旅行の旅程によります。というのは、飛行機が遅れて乗り継ぎ便に乗れなかったときには、「航空会社が」空席がある次の便を無料で探してくれますし、宿泊しなければならなくなったときにもホテルを手配してくれるからです。
食事代も支給されます。航空会社の担当者ときちんと会話をして交渉できる人は、旅行保険を使うまでもないのです。 ただし、乗継便を個人で「別手配」(国内線だけを後から予約するなど)した場合には、航空会社に上記のようなことを一切頼れなくなりますので、この補償をつけたほうがよいかもしれません。
でもその場合は、支給金額上限の2万円では全く足りないことになってしまいますが・・・。 また、LCC利用などで、遅延やキャンセルの可能性が高いことがあらかじめ分かっている場合には、有意義な補償と言えるかもしれません。この補償がついているなら、「本当に待つことになってしまった時間には、補償金額上限を意識したおいしいもの食べて、気晴らしする」ような使い方は、できるように思います。もちろん常識の範囲内で、ですけどね。
まとめ
これまで、海外旅行保険は複雑すぎて理解不能と思われていた方にも、少しは理解するためのお手伝いができたでしょうか?
海外旅行保険は、一度内容をしっかり理解してしまうと、この先一生何度でも安心して旅行に備えることが簡単にできるようになります。正しく知って上手に選び、万一のときには助けてもらえるように、ぜひ活用したいものですね。
保険内容は時代のニーズに合わせて進化しています。そして、カード付帯保険の補償内容はときどき変わることがあります。長く利用しているクレジットカードだと思っていても、保険については旅行前に毎回、さらっと最新情報を確認しておくとより安心ですね。
海外旅行保険支払い事例(投稿体験談)
有料の海外旅行保険とクレジットカード付帯の保険について、トラブルが発生してから補償金を受け取るまでの体験談を集めました。 トラブルは突然起こるものです。何に注意して、万が一のトラブルが起きたらどの様に対処すればよいのかを頭に入れて旅行に備えましょう。
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